「サイディング」……
耳慣れない言葉ですよね。これはここ10年で急激に増えてきた外壁の工法です。
ノルウェーの木造建築に用いられていたこの工法は、そのナチュラルなカントリーテイストが好まれ、現代では多く使われるようになってきました。
「サイディング」はデザイン性も耐久性もいいので、とても人気が高い外壁材です。
現在、国内の外壁シェアの7割から8割を占めていると言われています。
今回は、この「サイディング」について種類や工法、メンテナンスについて詳しく見ていきます。
■目次
リフォーム外壁材「サイディング」ってなに?

「サイディング(サイディングボード)」とは外壁に使われる長い板状のパネルを指します。
日本では古くから「羽目板」という両端に凸凹のついた板を組み合わせて天井や外壁を作る工法があります。
その羽目板こそがサイディングです。
戦後から1980年代までは防火性の高さから外壁にモルタルを塗る工法が主流でした。
しかし、1990年代に入り、洋風のデザインの家が好まれるようになってきました。
また、阪神淡路大震災により家の強度への関心も高まってきたのです。
重くて耐震性の弱いモルタルより地震に強い「サイディング」を使った外壁に注目が集まり、シェアをどんどん広げてきました。
「サイディング」の特徴
- 耐震性に優れる
窯業系サイディングはモルタルと比べてその重さは1/2程度、さらに金属系サイディングはその1/4程度と軽いため、建物に対する負担が軽いです。
また、金具止め工法の場合、壁に金具を取り付け、そこに引っ掛けていくので、サイディング自体が動くことができ、揺れを軽減してくれます。
- 工場生産のため、安価で品質が安定している
サイディングボードは工場生産されています。そのため、比較的安価に手に入り、品質も安定しています。
- デザイン性に優れ、バリエーションが豊富
出始めた当初はそこまで豊富ではなかったバリエーションも、最近ではだいぶ種類も増え、洗練されたデザインも多くなってきました。
「サイディング」はその素材の種類によって、主に4つに分けられます。
「サイディング」の4つの種類とそれぞれの特徴
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窯業(ようぎょう)系サイディング
窯業系サイディングとは、セメントと繊維を混ぜ合わせ、窯(かま)を使って高温で焼き上げたものとなります。

防火性、遮音性に優れ、デザインも豊富ですが、吸水性が高く、塗装やコーキング(すき間を充填剤で埋めること)の劣化に伴うメンテナンスが必要です。
また、主成分のセメントは酸性雨や塩害に弱く、ひび割れの原因になります。
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金属系サイディング
金属系サイディングとは、表面を金属でコーティングし、裏に断熱材を取り付けたものです。
鉄に亜鉛を吹き付けた亜鉛メッキ鋼板(トタン)や亜鉛とアルミニウムを混ぜて吹き付けたガルバリウム鋼板、鉄にクロムを混ぜて作られるステンレス鋼などがあります。

裏打ちされた断熱材のおかげで断熱性に優れており、金属ながら窯業サイディングの1/4という重さなので、耐震性に優れています。
ですが、薄い金属板なので硬いものが当たるとへこんでしまったり、傷つきやすいです。
また、酸性雨や塩害に弱く、サビに強いと言われているガルバリウム鋼板やステンレス鋼版であっても塗膜が剥げてしまうとサビてくる事があります。
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木質系サイディング
木質系サイディングとは、天然の木材に塗装を施したものです。

引用:CHANNEL ORIGINAL 「WILL WALL」
断熱性に優れ、木材独特のぬくもりが味わえます。
前は、防火性に不安があり、都市部の防火地域もしくは準防火地域には建てられないこともありました。
しかし、最近では薬剤や塗料を使って、防火認定を受けることで準防火地域に建てられるものもあります。
デメリットとしては天然の木を使うため、他のサイディングに比べて値段が高くなります。
そして、扱っている業者も窯業系や金属系に比べると少ないです。
また、水には弱く、塗膜が剥げたところからカビてしまったり、腐食したりするので、細かなメンテナンスが必要です。
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樹脂系サイディング
配管などにも使われる塩化ビニル製のサイディングです。
日本では、まだ歴史が浅くあまり見かけませんが、海外では50年以上使われ、高いシェアを誇っています。

冷害や塩害、酸性雨などに耐える耐侯性があり、錆びたり腐食したりする心配もないです。
また色落ちもしないため、塗装の必要もないです。
そして、コーキングをしない場合が多いため、メンテナンスの費用が安く抑えられます。


薄い素材なので、遮音性は期待できません。
雨音など外からの音はもちろん、赤ちゃんの泣き声や楽器の音など中の音も漏れやすい傾向があります。
断熱材や下地で防音処理をしたほうがいいでしょう。
また、全体の1%程度のシェアのためか、種類が少なく、取扱業者が少ないです。
業者によっては扱い方が分からないまま、間違って取り付けてしまうケースもあるようです。
「サイディング」にかかる費用やメンテナンスは?



「サイディング」に限らず、外壁は定期的なメンテナンスによって長持ちさせることができます。
ここでは、「サイディング」へのリフォーム方法やメンテナンスについて見ていきます。
「サイディング」へのリフォーム方法
今の外壁から「サイディング」へリフォームする場合、次のような方法があります。
- 張り替え
既存の壁を剥がして、新しい壁を張り替えます。
材料を選ばず、また壁の中の状態も確認できます。
しかし、既存の壁を剥がす費用と廃棄の費用分、金額が高くなります。
- 重ね張り(カバーリング工法)
既存の壁を剥がさず、上から貼りつける工法です。
廃材なども出ないため、張り替えより安く済みます。
ですが、「サイディング」を貼る分、壁が重くなるため、金属系サイディングや樹脂系サイディングといった軽い素材しか使えません。
また、既存の壁の劣化状態によっては施工が行えず、壁の中の様子もうかがえない事から、古い壁にはおススメ出来ません。
種類別「サイディング」のメンテナンスと費用
「サイディング」は種類によって、メンテナンス時期は様々ですが、一般的に張り替えから10年~15年でコーキングの打ち直しや塗り替えが必要になります。
以下のような兆候が見られたらメンテナンス時期です。
- 色褪せ、塗膜の剥がれ、チョーキング(触るとチョークのような粉が付く)
- サビやコケの付着
- コーキングがひび割れるなど劣化してきた
また、劣化が激しく、サイディングが割れてしまったり、反り返ってしまった場合は張り替えが必要です。
その場合、張り替えに使ったサイディングの型番が生産終了していることもあるので、サイディングを選ぶ際にはオーソドックスな柄のものを選んだほうが無難です。
メンテナンスをするにもお金がかかります。以下の表でまとめてみたのでご覧ください。
張替工事費(※2) | メンテナンス時期 | メンテナンス費用 | 30年後の総額(※3) | |
窯業系 | 160~230万円 | 7年~10年 | 170万円くらい | 500~570万円 |
金属系 | 150~220万円 | 10年~15年 | 170万円くらい | 490~560万円 |
木質系 | 170~240万円 | 7年~10年 | 170万円くらい | 510~580万円 |
樹脂系 | 200~270万円 | 10年~20年 | 150万円くらい(※4) | 500~570万円 |
※1一般的な3LDK 30㎡の場合
※2材料費に金具代や足場代を含めたもの
※310年ごとにシリコン塗料を使用して塗り直し、同時にコーキング打ち直し
※4コーキングの必要がない場合
リフォーム外壁材「サイディング」特徴とメンテナンス費用のまとめ
「サイディング」とは最近増えてきた外装の素材です。
非常に軽いため、耐震性に優れています。
また、デザイン性に優れ、最近はカントリー風なテイストは洋風な外見が好まれるようになったため、大変人気があります。
木質系サイディング以外は工場生産のため品質が安定しているのも魅力です。
- 窯業系サイディング
〇防火性・遮音性が高い
×水・酸性雨・塩害に弱い
- 金属系サイディング
〇耐震性・断熱性が高い
×へこみや傷・酸性雨・塩害に弱い
- 木質系サイディング
〇木のぬくもりがある
×火と水に弱い・取扱業者が少なく、工場生産しないので高価
- 樹脂系サイディング
〇耐候性が高く、安価
×遮音性が低い・取扱業者が少ない
- 大体10年程度でメンテナンス
- サイディングのひび割れや反り返りは張り替えが必要
- チョーキング、サビやコケ、コーキングの劣化には塗り替えやコーキングの打ち直し


それに、値段以外にも素材によってメリットデメリットがあったよね。
最近はそのデメリットをなるべくなくそうと新素材も開発されているよ。
値段だけではなく、自分に合ったリフォームにすることが大切だね。
モルタルからサイディングにする費用や工法については、こちらの記事を読んでみてください!

詳しくは、こちらをご覧ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。